弁護士と「公益活動」 (弁護士 政平亨史)

 弁護士と「公益活動」、近時このテーマについて耳にする機会は多く、法律事務所のホームページにおいて事務所で実施している「公益活動」を紹介していることも少なくありません。
 弁護士が行う「公益活動」の意義については、私が所属している第二東京弁護士会の規則である会員の公益活動等に関する会規第2条において、以下のとおり定義されています(なお、弁護士の「公益活動」については様々な理解があるところですが、ここでは深く立ち入らないこととします。)。

(1) 市民に提供する基礎的な法律事務としての、国選弁護人、法律扶助事件、法律相談等の活動
(2) 弁護士会活動のうち、東京三弁護士会の委員会の委員又は幹事としての活動、弁護士会が運営する仲裁又は裁判外紛争解決機関における仲裁人・あっせん人等としての活動
(3) その他、官公署、人権の擁護等を目的とする団体又は組織、社会的・経済的弱者等に対して、無償又は低額な報酬で行う法律事務の提供等の活動 

  かかる定義によれば、弁護士の多くが携わったことのある国選弁護人としての活動や法律扶助事件に関する活動、弁護士会の活動等、世間一般に弁護士の業務として認識されているものの一定程度は「公益活動」に含まれており、弁護士の日常的な業務それ自体に、一定程度の公益性が内含されていることが理解できます。

 私は、これらの「公益活動」の一環として、主には、弁護士会の委員会活動と国選弁護人・当番弁護士としての活動等を積極的に行っています。
 弁護士会の委員会活動については、第二東京弁護士会に置かれている司法制度調査会・民法部会に所属し活動を行なっています。司法制度調査会・民法部会においては、現在、民法(債権関係)の改正に向けて、第二東京弁護士会としての公式なパブリックコメントの検討・策定等を行なっています。
 また、国選弁護人・当番弁護士としての活動については、単純な自白事件だけでなく、敬遠されがちな否認事件にも多く挑戦し、さらに最近では、自らの希望で裁判員裁判も受任し、積極的に難解な事件に取り組んでいます。
 
 ところで、これらの活動は「公益活動」としての側面を有することは当然ですが、若手の部類に属する私にとっては、自己研鑽の場としても重要な意義を有しています。
 例えば、委員会活動である司法制度調査会・民法部会は、熟達した先輩弁護士の民法(債権関係)の大改正に向けた侃々諤々の議論に触れ多面的な視野を養うことの出来る格好の機会であるほか、パブリックコメントを通じた立法過程への関与という弁護士業務の醍醐味を味わうことのできる貴重な機会でもあり、自己研鑽の場として大きな意義を有しています。
 国選弁護人・当番弁護士としての活動に関しても、先輩弁護士の指導等がある事務所事件とは異なり、あくまで個人事件として、事件の処理方針につき全ての面で自ら考え決断を下さなければなりません。事件の処理方針は弁護士業務の中でも最も難しいものの一つですが、これを全て自らで考え決断することは若手にとっては良い成長の機会でもあり、重要な自己研鑽の場となっています。

 私が現在積極的に行っている「公益活動」は、一方では、文字通り公益のための活動であるとともに、他方では、重要な自己研鑽のための活動の意味を有するものであることに気付かされます。このような「公益活動」における両面性からも、今後とも積極的に「公益活動」に取り組み、公益への貢献や自己研鑽に励みたいと思います。

(平成24年1月記)